レッドフィン・シャーク
Labeo frenatum
特徴と行動
鮮やかな赤～オレンジ色の各ヒレと、黒～濃グレーの流線型の体が特徴的。
サメのような形状から「シャーク」と名付けられているが、コイ科の魚。
活発で遊泳性が高く、テリトリー意識が非常に強い。
単独飼育向けだが、十分なスペースと隠れ家があれば混泳も可能。
生息地
タイ、ラオス、カンボジアなどのメコン川水系
自然下では流れのある川や湿地の底層に生息
適正飼育数
基本は1匹のみ（複数飼育は広大な水槽が必要）
好む餌
雑食性：人工飼料（フレーク、沈下性ペレット）、冷凍赤虫、藻類、野菜チップ
水槽内の藻類や残餌を食べる掃除屋的役割もある
【行動】
底層～中層を活発に泳ぐ
テリトリーを守ろうと他の魚を追いかけることが多い
同種や近縁種とは激しく争うため注意
夜間は静かになる傾向あり
【特別なケア】
隠れ家（流木・岩・パイプなど）を複数設置して視界を遮る環境作り
複数飼育の場合は十分なスペースと個別の縄張りが必要
水流を少しつけると自然な行動を引き出せる
強めのろ過と安定した水質が望ましい
【他の魚との相性】
○：同じサイズ以上の温和で俊敏な魚（レインボーフィッシュ、ダニオ類、ボティアなど）
△：底棲魚（コリドラス、オトシン）は追われやすいため注意
×：同種・近縁種（レッドテールブラックシャーク、フライングフォックスなど）
繁殖セットアップ
レッドフィン・シャーク（レッドフィン・バルブ）の繁殖には、最低でも55ガロン（約200リットル）のタンクが推奨されます。タンク内には広いスペースを提供し、魚が活発に泳げるようにします。隠れ場所として、水草やシェルターを配置しますが、レッドフィン・シャークは主に中層で泳ぐため、水草は主にレイアウトとして使用します。水は中程度の硬度（6-12 dGH）、pHは6.5-7.5が理想的です。水温は24-28°C (75-82°F)が最適です。水流は強い方が好まれますので、強力なフィルターを使用しますが、過度に強い水流は避けるように調整します。高性能なろ過装置が水質を保つために必要です。底砂には砂や小石を使用し、魚が底に落ちた餌を食べやすいようにします。広いスペースを確保することが重要です。水温は24-28°C (75-82°F)に設定します。明るい照明を使用し、水草の育成を促進します。強い光を避けることが大切ですが、適度な明るさが魚にとって良い環境を提供します。
繁殖準備
高品質のフレークやペレット、ライブ餌（ブラインシュリンプやミジンコ）を与えて、健康状態を維持します。特に繁殖期には高タンパク質の餌を与えることが重要です。水質を安定させるために定期的に水換えを行い、清潔な環境を保ちます。繁殖前には水換えを行い、水質が最適であることを確認します。
産卵
レッドフィン・シャークは、安定した水温と水質が整うと繁殖を開始します。オスはメスに対して積極的に求愛し、繁殖行動を示します。オスはメスに寄り添い、求愛ディスプレイを行います。メスは数十個の卵を産むことがあります。卵は水草の間や岩の隙間に産み付けられ、オスは卵を受精させます。産卵後、卵は水草や岩にしっかりと付着します。産卵後、親魚は卵を食べることがあるため、親魚を取り出すことが推奨されます。卵を安全に保護するために、親魚を取り出し、別のタンクで孵化させると良いです。
稚魚の世話
卵は約3-4日で孵化します。孵化した稚魚は非常に小さく、親から離れるときに餌を探し始めます。稚魚には非常に細かいインフゾリアやブラインシュリンプを与えます。稚魚が成長してきたら、小さな冷凍餌や他の餌に切り替えます。稚魚用タンクでは水質を清潔に保ち、酸素供給を十分に行います。水質が悪化すると稚魚が死んでしまうため、特に注意が必要です。
重要な考慮事項
レッドフィン・シャークは通常、1歳から1年半で繁殖が可能になります。オスはメスよりも小さめで、色が鮮やかでひれが広がっています。メスはオスより大きく、腹部が膨らんでいるのが特徴です。レッドフィン・シャークはストレスに敏感で、過密飼育や急激な環境変化は繁殖に悪影響を与えることがあります。安定した環境と適切な水質が繁殖を促進するため、非常に重要です。