ヴェヌスタス・シクリッド
Nimbochromis venustus
特徴と行動
体にキリンのような網目状の斑点模様が入り、**金色〜黄緑の体色と青い顔（特にオス）**が特徴的。
成長すると20cmを超える大型アフリカンシクリッドで、存在感は抜群。
オスは成熟すると顔面がメタリックブルーに染まる。
性格は比較的穏やかだが、肉食性で小型魚を捕食するため混泳相手は慎重に選ぶ必要がある。
生息地
アフリカ・マラウィ湖（南部の岩場〜砂地）
独特な捕食スタイル（砂に潜み死んだふりをして小魚を捕まえる）
適正飼育数
単独またはオス1匹：メス複数のハーレム構成が理想
好む餌
肉食性が強いため、シクリッド用高タンパクペレット、冷凍赤虫、エビ、クリルなどを好む
色揚げ目的にはカロチノイド配合のフードが有効
小魚との混泳時は捕食の危険があるため、活餌の使用には注意
【行動】
底〜中層をメインに活動し、広範囲に泳ぎ回る
縄張り意識はあるが、他のハプロクロミス系とは共存しやすい
オス同士では軽い小競り合いが見られることもあるが、致命的な争いは少ない
【特別なケア】
十分な泳ぎスペースと、砂地＋岩組みのバランスが良いレイアウトがおすすめ
pH維持にはサンゴ砂・石灰岩・マラウィソルトなどを利用
成長が早く、給餌量と水換え頻度（週1～2回30～40％）のバランスを重視
【他の魚との相性】
◎：同サイズ以上のハプロクロミス系・ピーコックシクリッドなど
△：ムブナ系（小型・気性が荒い種類）はストレス源になる
×：小型魚、シュリンプ（捕食対象）
繁殖セットアップ
ヴェヌスティス・シクリッドの繁殖には、最低でも75ガロン（約285リットル）のタンクが推奨されます。タンクにはシェルターとして流木や岩を配置し、魚が隠れられる場所を提供します。特に繁殖期にはメスが安心して産卵できる環境が求められます。水は硬水で、硬度は10-20 dGH、pHは7.8-8.5が理想的です。水温は26-30°C (78-86°F)が最適です。強力なろ過装置が必要です。過度な水流は避け、スポンジフィルターや高性能フィルターを使用して水質を清潔に保ちつつ、適度な水流を確保します。底砂には粗めの砂や小石を使用します。ヴェヌスティス・シクリッドは底に近い場所で過ごすため、安定した環境を提供することが重要です。水温は26-30°C (78-86°F)に設定します。温度が安定していることが繁殖を促進します。強い照明を避け、魚がリラックスできる適度な明るさに調整します。過度に強い光はストレスを与える可能性があります。
繁殖準備
高品質のペレットや冷凍餌（ブラインシュリンプやミジンコ）、ライブ餌を与え、健康状態を維持します。繁殖前には特に高タンパク質の餌を与えることが重要です。水質を安定させるために定期的に水換えを行い、清潔な環境を保ちます。繁殖前には水換えを行い、水質を最適に保つことが推奨されます。
産卵
ヴェヌスティス・シクリッドは通常、安定した水温と水質が整うと繁殖を開始します。オスは鮮やかな色を出し、メスに対して求愛行動を行います。オスはメスに巣を作り、メスを誘います。メスは数百個の卵を産むことがあり、卵は巣に産み付けられます。オスは卵を受精させ、その後卵を守ります。親魚は卵や稚魚を守りますが、タンク内の他の魚による食害を防ぐため、親魚が卵を守りやすい環境を提供することが大切です。
稚魚の世話
卵は約4-7日で孵化します。孵化した稚魚は最初は小さく、親の保護下で育てられます。稚魚は非常に小さいため、最初は細かい餌を与える必要があります。稚魚にはインフゾリアや非常に細かいブラインシュリンプを与えます。稚魚が成長してきたら、小さな冷凍餌やドワーフクレクレを与えることができます。稚魚用タンクでは水質を清潔に保ち、酸素供給を十分に行います。水質が悪化すると稚魚が死んでしまうことがあるため、特に注意が必要です。
重要な考慮事項
ヴェヌスティス・シクリッドは通常、1年半から2年で繁殖が可能になります。オスは鮮やかな色を持ち、背鰭が長く広がっています。メスはオスよりも少し大きく、腹部が膨らんでおり、繁殖期にはその膨らみが目立ちます。ヴェヌスティス・シクリッドはストレスに敏感で、過密飼育や急激な環境の変化が繁殖に悪影響を与えることがあります。安定した環境と適切な水質が繁殖を促進するため、非常に重要です。